2019年10月30-31日、バイロイト大学で行われた国際会議(Africa Multiple: Conversations and Building Networks)に参加しました。
国際会議は、ドイツ研究振興協会(DFG)のエクセレンス・クラスターとして昨年採択されたバイロイト大学の超大型研究プロジェクト、「アフリカ・マルチプル」に関わる各研究者のネットワーキングを目的としたもので、本学からは重田眞義 アフリカ地域研究資料センター長と金子守恵 同センター准教授が招待されました。ドイツやフランスといったヨーロッパはもちろん、ナイジェリアやケニア、ブルキナファソ、南アフリカといったアフリカの各国やインド、韓国、アメリカ合衆国からも参加があり、文字通り世界中のアフリカ地域研究者を一堂に介したものとなりました。
2日間にわたって行われたプログラムは、知識生産の前提(Premise of Knowledge Production)、アフリカ研究とディアスポラの課題(African Studies and Question of Diasporas)、アフリカ研究におけるジェンダーと多様性(Gender & Diversity in African Studies)、デジタル時代におけるアフリカ研究(African Studies in the Digital Age)という4つのトピックに分けられており、さまざまな学術分野から提供された研究発表の内容に基づいて熱心な議論が交わされました。金子准教授は、「知識生産の前提」というセッションにおいて、「エチオピア南西部における女性土器職による在来知の継承」というタイトルで講演を行い、長年の参与観察によって得た知見から議論の題材を提供しました。重田センター長は、2日目に提供されたすべての研究発表に対するコメンテーターの1人として登壇し、世界各地で進められている最新の研究成果の論点を整理しながら、「アフリカ・マルチプル」という視点にたった共同研究の方向性について提言を行いました。コメントの最後に、2019年4月にアディスアベバ大学エチオピア研究所内に設置された京都大学アフリカオフィスを紹介し、本学と海外の研究機関との間の研究交流拠点として機能する場となることを強調しました。
会期の最後に行われたレセプションではステファン・ライブレ バイロイト大学学長からも歓迎の挨拶があり、「アフリカ・マルチプル」の将来構想が和やかな雰囲気の中で語られました。2019年に始まったこのプロジェクトは、2025年までの7年間で数十億円規模の予算で研究をすすめる計画がたてられており、ヨーロッパでも有数のアフリカ研究拠点がバイロイトに形成されつつあります。今後は、「アフリカ・マルチプル」との連携の機会を捉えて本学のアフリカ地域研究の国際化を促し、さらに研究を加速させてゆきます。